40代からの英語学習学び直し戦略。理論に基づく学び方と考え方
- 英語を使えるようになりたい!
- けど、40代から英語の勉強を始めても間に合うのだろうか。
- 大人の自分に合った学習方法を知りたい!
そんなふうに悩んではいませんか?
「今さら勉強しても仕方がない・・・」そんなことはありません。
英語を使いこなせるようになれば、スキルアップになるだけでなく、日々の情報収集の幅も広がり、仕事や趣味の役にも立ちます。
一方で、いざ英語を勉強する気になっても、しっかりと成果が出るのか不安になってしまう人もいるかと思います。
この記事では、第二言語習得理論に基づき、40代から英語を勉強するにはどんな学び方を大事にすればいいかを紹介します。
人間はどのように母語以外の言語(第二言語)を習得するのか、を研究する理論、仮説のこと。
40代から英語を始めるのは遅い?
一般的には「英語学習は早く始める方が良い」とされています。
では30代、40代で英語を学んでも身につかないものなのでしょうか。
結論から言いますと、答えはNo。
40代からでも遅すぎるなんてことはありません。
しかし、なぜ「英語学習は早い方が良い」とされるのか、その理由を知ることで、大人の学び直しを成功させるヒントとなります
英語習得のタイムリミット?臨界期仮説とは
大人になってから英語を学ぼうとしている人にとっては残酷すぎる理論があります。
それが「臨界期仮説」です。
なんか難しそうな言葉だな・・・
別にこの言葉を覚える必要はないですよ
Le㎜eberg(1967)は,言語は幼児期から思春期頃(12-13歳ぐらい)までに完全に習得され,それ以後に学習を開始しても不十分にしか習得が行われないという仮説を立てた.
言語習得の臨界期について(白畑 知彦)https://www.jstage.jst.go.jp/article/secondlanguage2002/3/0/3_3/_pdf/-char/en
これが現在最も広く知られている言語習得における臨界期仮説(critical period hypothesis,CPH)の 基本的主張 であ る.
例えば「絶対音感を身につけるには3歳までにピアノを習わせないといけない」ということはよく聞きますが、それと同じことが言語習得にも言えるのです。
Le㎜ebergはこの仮説の中で、「言語能力は12〜15歳までに完成する」としました。
それなら今から英語勉強しても意味ないの!?
そんなことはありません。
世界で活躍する日本人スポーツ選手を考えてみてください。
インタビューに英語で答える姿はかっこいいですよね。
しかし、スポーツに打ち込んできた彼、彼女らが15歳までにみんな英語がペラペラだったかというと、そうではないと想像ができます。
ネイティブ並みの英語力がなくても、英語を使ってコミュニケーションを取ったり、情報を発信することはできるのです。
40代は子どもより早く英語を習得できる?
英語学習は早く始めるのに越したことはない。それは事実です。
しかし、実は子どもより大人の方が英語を習得するのが早い、そんな研究結果もあるのです。
英語は論理的な構造を持っている言語だと言われています。(中略)そして、このような論理的な構造は中学生や高校生のような未成年の頭よりも、成人した大人の頭のほうが体系立てて、はっきりと捉えられるということも明らかにされています。
第二言語習得理論に基づく、最も効率的な英語学習方法(佐藤洋一)
ここでいう論理的な構造とは文法や文構造、また、会話の文脈のことです。
加えて、大人にはこれまで培ってきた「日本語の知識」があります。
日本語と英語の似ているところや異なる点を比べることで、より早く理解を進めることができます。
10代と40代の学習方法の違い
小学校でも英語が必修化されてしばらくたちます。
現在、小学校でどのような英語の授業がされているか知っていますか。
基本的には「音声を中心としたインプット重視の授業」を通して、英語を身につけ、自然なアウトプットに繋げていくことが望ましいとされています。
そのため、歌やチャンツでリズムと合わせた発音を身につけたり、体の動きと英語を連動させたりすることで英語能力の土台を作ろうと取り組んでいます。
これは先ほどの「臨界期仮説」が根拠の一つとなっています。
音感を身につけるには早くにピアノを習わせる必要があるのと同様に、良い発音と聞き分けられる耳を育てるには早い段階で英語に触れさせることが大切だと考えられているからです。
では、40代も同じように学習すればいいのかというとそうではありません。
学校での英語学習と、30代、40代の英語学習の違いは大きく3つです。
- 子どもは音を聞き分ける耳が良い。大人は論理的思考が得意
- 子どもは英語を使う目的がない。大人は目的が明確
- 子どもには時間がある。大人には時間がない。
学校での勉強は将来大人になった時のための学習なので、英語を身につける明確な目的がありません。
目的が明確でないからこそ、幅広く学び、英語学習の土台づくりをしているのです。
それに対して大人になって英語を学ぼうという人には何かしらの目的があるはずです。
- 仕事で英語を使う必要が出てきた。
- 好きな映画を字幕なしで見たい。
- 海外旅行をもっと楽しみたい。
「子どもは勉強することが仕事」なんて言いますが、大人になったら勉強する時間が取るのも大変ですよね。
社会人の1日の平均勉強時間は6分だとか7分だとかも言われています。
そうした中では、ある程度目標を絞って効率的に学習する必要が出てきます。
英語学習の学び直しを始める前に【考え方】
具体的な学習方法に入る前に、頭のスミに置いていただきたい3つの考え方があります。
英語学習の目的と目標を明確にする
子どもと比べて、大人には学習時間がありません。
そこで、あれもこれもではなく、ゴールを絞って学習に取り組む必要があります。
ここで時間を取りますので、頭の中で自分の学習のゴールを思い描いてみてください。
いかがですか。
ではその目標を「場面」と「スキル」で分けてみましょう。
先ほどの例だとこんな感じです。
- 仕事で英語を使う必要が出てきた→「ビジネス」で「話す」ようになりたい
- 映画を字幕なしで見たい→「映画鑑賞」で「聞き取れる」ようになりたい
- 海外旅行をもっと楽しみたい。→「旅行先」で「話せる」ようになりたい
ここでの「場面」とはよく出てくる「単語」や身につけるべき「表現」とつながっていきます。
日本語がわかっても、お医者さんの使う専門用語はわからないように、「英語」と一口に言っても場面によって使われる表現はさまざまです。
時間がない中で英語力を上げるためには、「よく出てくる表現」に絞って学ぶ方が効率的です。
スキルについては「話すスキル」と「聞くスキル」はセットだったり、読めるようになることで話せるようになる、ということもあるので、厳密には分けることはできません。
しかし、話せるようになりたいのにずっとTOEICの勉強ばかりしてたら本末転倒ですよね。
最低限の知識を身につけたら、自分のゴールとするスキルを獲得できるような学び方をしていく必要があります。
完璧な英語は求めない
「臨界期仮説」が示すように、今からネイティブ並みの英語力を身につけることは難しいです。
個人的には不可能だとは思いませんが・・・
時間がかかるのは事実でしょう。
習得に時間がかかると、モチベーションを維持するのが難しく、学習を続けることは困難になっていきます。
最終的には「伝わればいい」
それくらいの気持ちで英語学習に取り組んでみましょう。
かっこ悪くても、身振り手振りでも伝わればOK。
言いたいことが言えなかった数だけ、英語が上達するチャンスです。
毎日継続する
社会人にとっては「学習時間を確保する」ということが一番大変かもしれません。
30代、40代といえば一番仕事に集中したい時期だったり、子育てが忙しい時期だったりもするでしょう。
そうした中で学習時間を毎日捻出するのはなかなか大変です。
自分も、子どもを寝かしつけて「ようやく時間が取れる」と思ったらすぐ起きてを繰り返す。そんな毎日です。
まずは1日のスケジュールを見直し、1日にどれくらいの学習時間が作れそうか計算してみるのも良いでしょう。
「そんな悠長なことを言ってられない!3ヶ月後には海外出張なんだ!」
そんな人には通常の英会話スクールではなく、英語コーチングの受講も一つの手かもしれません。
英語の学習は筋トレと似ています。
一朝一夕で変化は起こりません。
継続する中で徐々に英語が使える実感が湧いてくるものです。
長期プランで英語の学習に取り組む方が良いでしょう。
40代からの英語学習を支える第二言語習得理論
理論に基づいた学習を行うために、ここでは2つの仮説を紹介します
- インプット仮説
- タスク中心教授法
インプット仮説(Input Hypothesis)
突然ですが、赤ちゃんってすごいですよね。
文法や発音を学ばなくても、自然と言葉を話せるようになる。英語を身につけようと必死になっているこちらからすると羨ましい限りです。
赤ちゃんはたくさんの言葉を聞いて、言葉を習得していきます。
インプット仮説は、そんな赤ちゃんのように、「理解可能なインプット」が十分に与えられれば、それだけで言語が習得できるとする考え方です。
そんなこと本当にできるの?
実際、この仮説には反対の意見も多く出ていますが、ポイントになるのは「理解可能なインプット」の部分です。
理解可能なインプット=今の自分の能力+1
例えば英語の本を読む、音楽を聴く、単語帳を開く
そうした時、「今の自分でも理解できるレベル」に「プラス1」した内容に取り組むことが大切です。
「海外ドラマで英語の勉強!」「洋楽でリスニング勉強!」という方法は楽しく学習ができて良いのですが、あまりに自分のレベルと離れすぎている場合はまず基礎を固めたほうが良いかもしれません。
タスク中心教授法(Task based learning)
単語帳の丸暗記では意味がないよね
ということは多くの人が直感的にわかることだと思います。
「学校の授業は真面目に受けてきたけど、話せるようにならない!」という悩む方もいるでしょう。
現実に即した英語を使う場面があって初めて、英語は身につくものです。
タスク中心教授法は、まさにこうした考えから生まれています。
タスク=課題を解決するための手段として英語を活用することで、英語は身につく
学校であれば
- 外国人に道案内しよう
- 観光パンフレットを作ろう
といった内容がタスクになります。
大人の学習では自らタスクを設定していく必要があります。
仕事で英語を使えるようになりたいなら
- ビジネスパートナーに自己紹介をしよう
日常会話なら
- 最近見たテレビについて伝える
などが考えられます。
「自分でイチから考えるのは大変!」という方にはオンライン英会話もおすすめです。
例えばDMM英会話ならDaily Newsやビジネス英語など、トピックごとに課題が設定されているのでレッスンひとつひとつがタスクのようになっています。
40代からの学び直し戦略
まずは自分の英語力をチェック
学習を始める前に知るべきこと。それは
理想と現実のギャップです。
英語を話せるようになりたい、という理想に近づくために何が足りないのかを知ることで、学習計画が立てられます。
まずは一度、TOEICを受験することをおすすめします。
理由は3つ
- 結果が点数で出る
- 学習教材が豊富
- 試験日が最初の目標になる
TOEICは合格、不合格がありません。
なんなら勉強せずに受けても、今の自分の実力が点数化されるのでOK、くらいの気持ちで申し込んでみましょう。
学習教材も豊富なので、自分に合ったレベルで学び始めることができます。
英検でも良いのですが、どの級を受けようかでまず悩んでしまうことと、不合格だったときにモチベーションが下がるので、英語力チェックではおすすめしません。
とりあえず申し込んでしまえば、試験がひとまずの目標となるので、はじめの一歩を踏み出しやすくなるでしょう
40代が英語を話せるようになる4ステップ
1 読める
子どもであれば、発音を聞き分ける耳が良いので音声中心の学習から始めるところですが、大人は論理的に文を読むことからはじめましょう。
長い文章である必要はありません。
TOEICの問題集を買った人なら、初めの語彙補充の問題に出てくるような文章でもOK。
Customer reviews indicate that many modern mobile devices are often unnecessarily (complicated).
試験問題は文法的に整ったものがほとんど。
「難しい!」と感じた人も、意味や文法を調べながら取り組めば読めるはず。
問題集なら解説もついているので理解も深まります。
「いきなり難しい英語なんて読めないよ」
という人はマンガから始めてみるのもオススメです。
日本語で読んだことがある作品なら話の筋がわかるので難しいところがあってもつまづきません。
おすすめは「LANGAKU」このアプリを使えば一日一話無料で英語版の作品を読むことができるので、気軽に始めることができます。
音声も聞くことができるので発音の練習にもなりますね。
マンガで英語多読 – Langaku
Mantra Inc.無料posted withアプリーチ
ちなみに、「読める」は黙読だけではありません。実際に声に出して読んでみましょう。
これがとても大事です。
必ず声に出して読みましょう。
2 聞ける
リスニングを鍛えたい!
と言っても、理解できないインプットをいくら重ねても意味がないことは「インプット仮説」のところで説明しました。
理解できるリスニングでのインプットの目安として「読める」ことが挙げられます。
読めないものは聞き取れません。
しかし、1単語ずつ読んでいては英語らしく聞こえないのも事実です。
そこで役に立つのが「英語のハノン」です。
「スピーキングのためのやりなおし英文法」と銘打った本ですが、英語らしく発音するコツが一番初めのユニットに書かれています。
- リンキング→Stund up(スタンド アップ ではなく スタンダップに聞こえる)
- アシミレーション→Do it yourself(itとyourがつながってチュアに聞こえる)
こうした英語の発音の特徴は知っておくだけで聞き取る力と発音がレベルアップします。
聞く力を鍛えるからと言って、イヤホンで音声を垂れ流すだけでは上達しません。
ここでも「声に出して発音する」ことを心がけましょう。
3 書ける
残る「書ける」と「話せる」はどちらもアウトプットに当たります。
違いは「話す」ことは瞬発的なアウトプットが必要になること。
なのでまずは書くことで自分の表現したいことを表してみましょう。
おすすめは英語日記です。
自分が日々思ったことや経験したことを英語にしよう=それって日記だ!
という発想からスタートする本書は、英語の学習法としてだけでなく、取り組む姿勢の面でも参考になるものがあります。
日記を書くことも、最終的にはコミュニケーションにつながるように声に出して読んでいきましょう。
4 話せる
ここまできたら実際に話す段階です。
とはいえ外国の人と話す機会なんでなかなか作れません。
オンライン英会話なら時間や場所を選ばずに英語を使えるのでおすすめですが、ただ受けるだけでは効果が現れません。
最近はAIと英語で話せるアプリも増えてきました。
個人的におすすめなのが「ELSA Speak」です。
ELSA Speak: AIで英会話・英語の学習・発音を改善
Elsa Corp無料posted withアプリーチ
発音を矯正することに重点を置いたアプリですが、AIと話せる「ELSA AI」は話していて楽しいだけでなく、文法や語彙など、自分に足りない力を分析してくれます。
「いきなり人と話すのは不安だ」という人にもおすすめできます。
英語学習はこの4つ
- 読む
- 聞く
- 書く
- 話す
を繰り返して上達していきます。
読めるものが増えれば聞き取れるものも増えるし、聞き取れるものが増えれば話す力にも自信がついていきます。
自分の得意なものから伸ばしていくのもいいですね。
まとめ
外国語学習は早くに始める方が良い。これは事実です。
しかし、30代、40代から英語を始めて身につかない。というわけではありません。
英語は40代から始めても遅くはない。大切なのは
- 目的を絞って、理想の姿を明確にする。
- 文法や文構造、日本語の知識から理論的に英語を理解していく。
- 読む時も聞く時も書く時も、英語を発音することを大切にする。
英語を学ぼうという人は何かを変えようという人です。
貴重な時間を「学び直しに使おう」そう考えただけでも周りより一歩先を行っています。
さらに2歩、3歩と学びを進めるあなたを応援します。